入試対策

令和4年度千葉入試分析ー国語編[傾向と出題メッセージ]

深夜に自宅のPCから書いています。
…何やってるんですかね。
市川田尻の市川第六中学校・市川高谷中学校専門、藤原塾です。

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令和4年国語を分析していく

結論:ヤバイ。

 

そもそも千葉の国語は「濃い」。

千葉の入試平均点です。

「国語はまあ今までも別に普通に取れてたし入試も別に大丈夫でしょ?」
とか、本当に、勘弁してください。

千葉県は全科目の中で国語の点数が一番低いんです。

なかなかないですよ。国語が最難関。
しかも、千葉は学力別に入試問題を変えたりしないですから、
上位校の生徒を入れても半分取れない年があるんです。

ピンとこないです?
お隣の東京と比べればわかりますか?


令和3年の平均点、()内は令和2年です。
どうです?「ヤバい」でしょ?
2年前なんて、平均点が千葉より35点も高いんですよ?
しかも、東京は上位校が問題を自作するので、この中に入ってない。
つまり上位抜きで、この数字なんです。
勉強しなくてもそこそこ取れる国語っていうのは、東京みたいな状況ですよ。

まず、認識を改めないといけません。

で、今年の問題ですが・・・

さらに平均点が下がると見込まれています・・・。
つまり、「う~ん、東京よりも難しすぎるかな?ちょっと易しめにしたほうがいいかな?」
みたいな、慈悲はないんですよ。
もう、ガンガン要求してくるんです。国語力を。

だから、国語は本当に、徹底して、やらないと、ダメです。
定期テストで点取れても関係ありません。
定期テストの国語は「この文章における先生の解釈を覚えているかテスト」であり、

入試ではこのように事前の解釈どころか、初見の問題に取り組むのですから。

各設問を分析。

問題はここなどから閲覧してください。
https://www.chibanippo.co.jp/news/local/908592

1.稀なる「リスニング問題」

珍しいんですよ、国語のリスニング。準備も大変ですし。
でもやめない。それだけ、こだわりがあるんですよね。
千葉の国語は本当に、こだわりのクセが強い!!

そして設問自体も4択ではありながら、クセが強いです。
単なるおつかいメモ的なことを問うのではなく、
発言の意図や、会話の流れそのものに対する問いなんですよね。

ですから、仮に会話文の原稿を見ながらでも確実に解けるわけではないんです。
題材からも出題者の思いがひしひし伝わってくるものになっています。

2.漢字の読み

 

1文字+送り仮名9なら訓、熟語は音読みの原則で3問は楽勝。
4問目は読めないでしょう。トウチ、ではありません。大人でも難しい。
「冶金」を知っていれば読めますね。
「冶」以外は中1でも何度か見ている漢字でしょう。

漢字の書き

 

基本的に小学校までの漢字でイケますね。
問題は例えば「カンダン」で、
「あ~、あったかい、さむい、って意味ね。」
と思えるだけの語彙力があるかどうかです。
漢字をかける力というより、語彙力なのが千葉。

4.説明文。

文章内容は東京にも劣らぬ、いやそれ以上に簡単な平易な分です。
困ったのは、設問のわかりにくさ、選択肢の紛らわしさです。

まず、内容そのものよりも、筆者がそのように言いまわした「意図」を中心に問うています。
これは珍しいですね。もちろん東京などでも、発言意図に関する問題は出るんですが、
そこがかなりクローズアップされています。

それ以外の問題はほぼ記述・抜き出しになっており、
「なんとなくそれっぽいのを選ぶ」という解き方を許してくれません。
雰囲気での解答をかなり嫌っていますね。

5.物語文

こちらも文章が相当平易です。
メンターが出てきて道徳的正解を雄弁に語る、なんとも典型的なパターン。
最終問題は形式指定の意図が読みにくく、邪魔なヒントになっていますが、
それ以外は簡単です。

6.古文

簡単でした。もう少し古文の勉強を頑張った子が得をするテストならいいなぁ。

7.作文

何を書かせたいのかをはっきり述べていないので、
出題の意図を読み取る必要があります。
それさえわかれば、ただ正解を書いてやるだけの作文です。
書いてほしいことを書いてあげるのが、千葉の作文ですね。
察せる生徒になりましょう。
中難度といったところ。

これらから読み取れる、出題者のメッセージ

「コミュニケーションとは、相手の意図を汲むことである。」
ということではないでしょうか。

放送問題でも、説明文でも、作文でも、
2~3から10を知るような察する力を求めています。
全国で見ても「書いてあることを見つける」国語が多い中で、
書いていないことを答えさせようとする千葉はかなりクセがあります。

それだけ、思いがあって作られたこだわりの問題なわけですね。
ただ、残念ながら、それはあまり生徒には届いていないでしょう。
そういった問題は捨てて、考えずに答えられる問題に終始した生徒が多かったのではないでしょうか。

出題者の気持ちはわからなくもないですね。
教師をやっていれば、大人とコミュニケーションを図ろうという姿勢は、
年々弱くなってきていることを感じますから。
子供目線で、共感力のある大人に子供の目線は集まり、
メディアの変化によって、コミュニケーションの主体も変わり、
大人の世界にぶつかっていく必要性も少なくなってきましたからね。

この問題が生徒に響いてくれればよかったと、私も思いますが…
まあ、現実は難しいですね。

さて、対策としては、やはり「文章の意図」に注目した学びをすることですね。

「昨年よりもずっと大きな桜が…一斉に開花した」
・なぜ「昨年」と比較した?
・なぜ、「大きな」ではなく「ずっと大きな」?
・「一斉に」とわざわざ書いた理由は?
・「、」ではなく「…」なのはなぜだ?

こういった、単語一つ一つの意図、文の意図、段落の意図、文章の意図、
そういった部分を考えさせていくことが、必要ではないでしょうか。

本当に、「学問だなぁ」と感じる、出題でした。